大岩オスカール

　大岩オスカールがギャラリーノマルでの初個展を開催し、新作の版画シリーズを発表する。

　サンパウロに生まれ、東京、ニューヨークと移り住みながら創作活動を続ける大岩。自らの人生を旅に例えており、複数の文化的視点から生まれた社会風刺と物語性に富んだ作品は、国内外で多くの注目を集めてきた。

　2020年、世界中が新型コロナウイルスという共通の災禍に見舞われ、そのなかで大岩も世界各地でのプロジェクトや展覧会すべての延期を余儀なくされた。マンハッタンのマンションにこもったままでできることを考え、「幸い僕は自分が感じたことを作品化できるスキルを神様から授かっている」と、隱遁生活のなかで空想の旅は「Quarantine Drawing Series」を綴った。

「Quarantine Drawing Series」はコンピュータを使って描かれたデジタルデータ。この空想の旅を、全世界の人とわかち合う手段として、シルクスクリーンによる版画作品に刻印することとなった。

　本展では、「Quarantine Drawing Series」全20作のシルクスクリーン版画作品を展示するとともに、全世界共通のコロナ禍にあるいま、アーティスト、ギャラリー、制作工房の使命とは何かを考える。この他、オリンピックをテーマとしたタブロー作品などの展示も予定している。