EXHIBITIONS

コア・ポア「Fallow(休閑)」

2020.12.26 - 2021.01.26

コア・ポア Maranasati 2020 Courtesy of the artist

コア・ポア Guardian Spirit 2020 Courtesy of the artist

コア・ポア Shibuya 2020 Courtesy of the artist

 ロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト、コア・ポアの個展「Fallow(休閑)」が開催されている。

 ポアは1987年イギリス・エクセター⽣まれ。2010年にオーティス・カレッジ・アート・アンド・デザイン卒業。絨毯の修復職人であるイラン系イギリス人を父に持ち、ペルシャのミニチュア絵画や浮世絵、アメリカの抽象表現主義、東洋の山水画といった、多種多様なイメージと文化を参照して制作を行ってきた。これらを組み合わせ、鮮烈で重層的な絵画作品を生み出している。

 2019年に開催された個展「Returnee」の後に⽇本中を旅したポア。その際に訪れた場所の地図をモチーフにし、地域の⾵⼟に根ざした⾊彩の組み合わせを⽤いて抽象的なかたちに表した。

 東アジアの⽔墨画に影響を受けて制作した⻁が題材のシリーズ。チベット絵画に見られる薬草や傷薬、楽器、⽇本伝統の料理や飲物、空間に浮かぶタントラ教のシンボルなど様々なイメージを描き、ペルシャのミニチュア絵画をさらに進化させた「Maranasati」シリーズ。本展で展示される新作は、⽇本と⻄洋のアートを通じた対話でもあり、ポア⾃⾝の旅の記録という私的な思いを込めたものでもある。いっぽうでその源泉は明かされず、中国的か、⽇本的か、韓国的かといった安易な位置づけを拒む複雑さを保っている。

 前回の個展以来初の展⽰となる本展は、ポアの休閑に終わりを告げる区切りになるという。ペインティングに描かれた⻁には、作家⾃⾝の復活がこだましている。洞窟に潜み、松林や霧の向こう側にいた⻁は、⽣まれ育った⼟地を離れ、新たな縄張りへといまその⼀歩を踏み出す。