EXHIBITIONS

アーティストブック発刊記念

横山奈美「ラブと私のメモリーズ」

横山奈美 アーティストブック『ラブと私のメモリーズ』 Photo by Hayato Wakabayashi © Nami Yokoyama

横山奈美 アーティストブック『ラブと私のメモリーズ』 Photo by Hayato Wakabayashi © Nami Yokoyama

横山奈美 アーティストブック『ラブと私のメモリーズ』 Photo by Hayato Wakabayashi © Nami Yokoyama

横山奈美 ラブと私のメモリーズ 2020 Photo by Hayato Wakabayashi © Nami Yokoyama

横山奈美 ラブと私のメモリーズ 2020 © Nami Yokoyama

 横山奈美のアーティストブック『ラブと私のメモリーズ』の刊行記念展が、ケンジタキギャラリー / 東京で開催される。

 横山は1986年岐阜県生まれ。見向きされないものに焦点を当てた静物画や、ネオンを描いたシリーズなどを手がけ、すべての「もの」に備わる根源的な存在意義や美しさを提示する。2017年に日産アートアワードオーディエンス賞を受賞。近年の個展に、「誰もいない」(ケンジタキギャラリー、名古屋、2020)、「アペルト10 横山奈美 LOVEと私のメモリーズ」(金沢21世紀美術館、石川、2019)、「LOVEと私のメモリーズ」(ケンジタキギャラリー、東京、2019)などがある。

 横山が2018年から始めた木炭によるドローイング「ラブと私のメモリーズ」は、ラブという名の犬と女の子の5年間の思い出を描いたシリーズで、人間好みに品種改良された動物が病気にかかりやすい体質になってしまうなど、短命になる可能性が高いという情報に接したことをきっかけに描き始めた作品だ。

 アーティストブック『ラブと私のメモリーズ』は作品集でもあり、絵本でもあり、思い出がつまったアルバムのようでもある美しい1冊の本。横山は電子書籍が普及する現在、あえて紙の「本にすること」をデザイナーの加納大輔と話しながらかたちにし、「いずれ色褪せていくけれど、その状態も大事に思えるような本」を意識して制作したという。

『ラブと私のメモリーズ』の刊行を記念して本展では、ラブと少女の思い出の断片を立体化し、その内側に光を灯したインスタレーションを展開。同シリーズの木炭の新作、油彩によるネオンシリーズも合わせて展示予定。

 作家は本展に寄せて次のようにコメントしている。「凄まじいスピードで移り変わっていく世のなかと比べると、彼女たちが過ごした5年間は、短く、何でもない時間でした。そんな彼女たちの思い出を追体験してもらうことで、毎日を生きるなかで見過ごしてしまう何でもないことに気づいてもらえたら、とても嬉しいです(横山奈美)」。