EXHIBITIONS

OPEN SITE 5

大岩雄典「バカンス」

キービジュアル

大岩雄典 別れ話 2020 インスタレーション、戯曲、詩、会話、音 写真=屋上

大岩雄典 スローアクター 2019 インスタレーション、映像 写真=野口羊

大岩雄典 なんたらかんたらなんたらかんたら、さえも 2017 窓ガラスにシール、ベランダに脚立 写真=永田康祐

 美術家・大岩雄典による展覧会「バカンス」が開催中。本展は、トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)の展示企画公募「OPEN SITE 5」第一期に採択された企画となる。

 大岩は1993年生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科博士後期課程に在籍し、インスタレーションとフィクションを制作・研究している。物語論や言語哲学、ヴィデオ・ゲーム研究への関心から、時空間とその経験のもつかたちを、美的・哲学的・政治的な問題意識から考え、作品やテクスト、レクチャーなどで上演。2020年には、緊急事態宣言下で開かれた電話で聴く展示「Emergency Call」を企画し、注目を集めた。

 本展「バカンス」には語りの形式で、漫才のなかで同じシチュエーションを繰り返す「コント漫才」が選ばれている。「豪華客船の一室を舞台に、ある人物が『盗聴器』ならぬ『盗言器』に日々悩まされている」という導入から始まり、どこからか聞こえてくる「声」をめぐるフィクションが、インスタレーションの空間と複雑に絡み合う。

「プライベートな空間の内と外、物語と声の伝播、自己と自己でないもの」といったテーマを結びつける本展は、とりわけ社会と個人に関わる世界的な変化に見舞われた2020年において、個人や芸術のあいだにありうべき緊張を考える企画となるだろう。

「コント漫才」本編には、俳優のキヨスヨネスク、矢野昌幸が出演(撮影:屋上、録音:増田義基、撮影会場協力:北千住BUoY)。音楽を作曲家・サウンドデザイナーの増田義基が、インスタレーション内の家具を高本夏実が手がけている。