EXHIBITIONS

青春と受験絵画

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築山玲子 新宿美術学院 1999

塩川髙敏 すいどーばた美術学院 1966

 パープルームギャラリーで、「受験絵画」「美術予備校教育」を再考する展覧会「青春と受験絵画」が開催される。

「受験絵画」とは、美術大学の入試課題である絵画作品の呼称。しかし様々なバリエーションが存在し、ひとつに定義することはできないと言う。本展では、油絵科・絵画科の試験用のための修練として描かれた作品や、合格作品の再現作品を「受験絵画」として括って紹介する。

 本展が着目するのは、美術予備校が長年体系化してきた受験突破のノウハウや産業としての側面。いっぽうで、美術予備校やアーティストたちとのかかわりなど、美術業界に一端をなしてきた経緯にもふれる。

 ギャラリーに展示されるのは、1960年代に描かれた作品から、現在高校に通う生徒の受験絵画まで50年以上の期間にわたる受験絵画27点。70年代の「新美調」「どばた調」、受験絵画のメソッドの基礎が構築された80年代、受験のルールと絵画という形式自体に疑問を呈した作品が登場する90年代、そして「絵心」を取り入れようと、絵画への擬態が試みられた2000年代など、実作品とともに「受験絵画」の潮流を振り返る。

 なお本展には、『石膏デッサンの100年 石膏像から学ぶ美術教育史』などの著書でも知られる荒木慎也と、新宿美術学院らが協力。これまで表立つことのなかった半世紀分の「受験絵画」を総覧できるまたとない機会となる。