EXHIBITIONS

ヴォルフガング・ティルマンス「How does it feel?」

ヴォルフガング・ティルマンス Clipped Tulip 2020 © Wolfgang Tillmans Courtesy WAKO WORKS OF ART

 ドイツのアーティスト、ヴォルフガング・ティルマンスの個展「How does it feel?」がワコウ・ワークス・オブ・アートで開催されている(事前予約制)。

 ティルマンスは1968年ドイツ・レムシャイト生まれ。92年にイギリスのボーンマス&プール・カレッジを卒業後、ロンドン、ベルリン、ニューヨークを拠点に活動。身近な友人たちやカルチャー・シーンをカメラに収め、80年代からその作品を『PURPLE』や『i-D』などのファッション雑誌で発表し、従来の写真界の価値体系に一石を投じる。93年によりドイツのギャラリーでの個展を皮切りに現代美術作家としての活動を開始する。

 額装を用いずにプリントを直接壁に貼る展示方法や、多様なモチーフの大小様々な写真を同時に壁面に貼るインスタレーションなどで注目され、2000年にターナー賞を受賞。現在も現代社会の様々な側面を切り取りながら芸術が持ちうる可能性を追求し、近年は社会的なアクションや音楽活動にも注力している。

 本展では初公開となる最新の写真作品を中心に、大小様々なサイズと素材で構成した壁面インスタレーションやヴィデオ作品を公開。ワコウ・ワークス・オブ・アートでは、6年ぶりの展示となる。

「How does it feel?」は他者の存在を意識したタイトルであり、 決して自らの殻に閉じこもることなく絶えず人とつながろうとし、他者の存在とその視点を愛おしみ、制作の糧としてきた作家の本質(=openness)を象徴するもの。歴史を鑑み、現代においてなおも新たなイメージが生まれ得るのか、という厳しい問いを自らに投げかけながら制作される作品は、一見ありふれた日常の一場面のようでありながら、すべてが不思議な、言葉では分析しきれない輝きを放つ。

 また、音楽活動にも力を入れている作家が、コロナ禍のさなかにYouTubeにて公開した新曲「Life Guarding」(2018/2020)の映像の縦バージョンと、ベルギーの個展で展示されたばかりの映像作品《Tag ein Trip(One day Trip)》(2018)も紹介する。