EXHIBITIONS

遠藤麻衣×百瀬文「新水晶宮」京都巡回展

2020.10.03 - 11.03
 東京・目白のTALION GALLERYで今夏開催された、遠藤麻衣と百瀬文による展覧会「新水晶宮」が京都に巡回する。

 遠藤は1984年兵庫県生まれ。自身の結婚をモチーフにした作品《アイ・アム・ノット・フェミニスト!》などで知られ、映像や写真、演劇などのメディアや方法論を横断しながら、いまここにある身体が発するメッセージと、社会規範や芸術のフォームとのずれを遊戯的に重ね合わせて表現をしてきた。

 近年では、批評家・キュレーターの丸山美佳とともに日本発のクイア系アートジン『Multiple Spirits(マルスピ)』を発行し、オーストリア女性芸術家協会(VBKÖ)での展覧会「満ちて欠けるとき」の企画なども行っている。

 百瀬は1988年東京都生まれ。見ることと見られること、語ることと語られることの非対称性を映像によって自己言及的に問い直し、主体の揺らぎやフォノセントリズムの不確かさを露わにするとともに、他者との交感が空転しつつも発現するコミュニケーションの強かで多様なあり方を示す作品を制作してきた。

 近年は一般社団法人 ACCの助成を受けてニューヨークで滞在制作を行ったほか、アーティストでディレクターのイム・フンスンと共同制作した『交換日記』が全州国際映画祭に正式招待されるなど、国内外で活動している。

 身体と演じること、眼差しと欲望、セクシャリティとジェンダーについて、多様な角度からアプローチを重ねてきた作家ふたり。本展では、「理想の性器」をひとつのキーワードに共作を発表する。

 今回の京都巡回展では、共作のオリジナルリソグラフ2点も披露。マスキュリンな言説の凝りをほぐし、軽やかな対話や転化を軸として構成される本展では、男と女、自然物と人工物などに二分されることのない、新たな性のあり方が実践される。