EXHIBITIONS

メルセデス・ベンツ アート・スコープ 2018-2020

原美術館
2020.07.23 - 09.06

久門剛史 風 2017(参考図版)

ハリス・エパミノンダ VOL. XXVII 2019 Photo © Andrea Avezzù Courtesy: La Biennale di Venezia 58th International Art Exhibition – La Biennale di Venezia, May You Live In Interesting Times(参考図版)

小泉明郎 嵐の後の新たなる息吹 2018(参考図版)

 1991年から始まった「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」は、メルセデス・ベンツ日本による、日本とドイツの間で、現代美術の作家を相互に派遣・招聘し、異文化での生活体験、創作活動を通して交流を図る文化・芸術支援活動。原美術館は2003年よりパートナーを務め、滞在の成果を発表する展覧会を開催してきた。

 今回の成果展では、日本からの派遣作家に久門剛史(2018年ベルリンへ派遣)、ドイツからの招聘作家にハリス・エパミノンダ(2019年東京へ招聘)を、そして過去の「アート・スコープ」参加作家のなかから招待出品作家として、小泉明郎(2010年ベルリンへ派遣)の3名を迎える。

 久門は1981年京都府生まれ、2007年京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。身の回りの現象や特定の場所がもつ記憶、歴史的事象を採取し、音や光、立体を用いたインスタレーションで知られる。昨年は第58回ヴェネチア・ビエンナーレにて、アピチャッポン・ウィーラセタクンとの共作を出品。KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭にて初めて劇場作品『らせんの練習』を手がけるなど活動の場を広げている。

 エパミノンダは1980年キプロス・ニコシア生まれ、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートとキングストン大学(ロンドン)で学ぶ。現在はベルリンを拠点に、コラージュの技法を用いた映像やインスタレーションの制作を行う。第58回ヴェネチア・ビエンナーレでは、企画参加アーティスト部門で銀獅子賞を受賞し、世界から注目を集めた。日本では、2009年に森美術館で行われた「万華鏡の視覚」展以来、約10年ぶりの展覧会参加。小津安二郎の映画をきっかけに、⾧年日本に強い関心を抱いている。

 小泉は1976年群馬県生まれ。国際基督教大学卒業後、チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン(ロンドン)にて映像表現を学んだ。これまで、演劇的手法を取り入れた映像作品によって、人間と人間、人間と社会の関係、また言葉と身体の関係を浮かび上がらせる作品を発表。近年はVR(ヴァーチャル・リアリティ)技術を使用した作品にも取り組み、昨年は「あいちトリエンナーレ 2019」でVR技術を使った初の演劇作品『縛られたプロメテウス』が大きな反響を呼んだ。

 本展では、久門とエパミノンダはそれぞれの滞在経験を生かした新作を発表し、小泉はこの3ヶ月間に制作した新作を展示予定。いずれも、行動の変容を求められるなかで、現在の状況に対峙するような作品となる。