EXHIBITIONS

祝 小山市制65周年 開館10周年 第48回企画展

呉夏枝(お・はぢ) 手にたくす、糸へたくす

2019.10.12 - 12.15

呉夏枝 あるものがたり 2010 撮影=福永一夫

呉夏枝 海図 2017 撮影=牧野和馬

呉夏枝 彼女の見つめる風景 2008 撮影=藤場美穂

 日本とオーストラリアを活動拠点に、記憶の再構築、記憶の継承の可能性を探求するアーティスト・呉夏枝(お・はぢ)の国内初となる美術館個展が開催される。

 呉は1976年大阪府生まれ。2012年京都市立芸術大学美術研究科博士号取得。呉は、韓国済州島から大阪へ移り住んだ祖母の記憶と向かい合うことから始めた。直接的な体験に基づく「記憶」を持たない者が、追体験を通じて得る擬似的記憶を通して世代間の記憶の溝を埋めようとする「postmemory」の概念を展開し、抑圧によって語られない、あるいは歴史に埋もれている「沈黙の記憶」にまつわる作品を制作している。

 本展では、糸を織る、編む、結ぶといった手芸の技法を人類の営みとしてとらえ、呉のこれまでの活動を包括的に紹介。自身のルーツである韓国の民族衣装の写真作品から、国の枠組みをとりはらい、個人の歴史を「私たち」のものとして人々と共有を試みるプロジェクト「grand-mother island 「第1章」までが展示される。