EXHIBITIONS

ピカソ展-ゲルニカ[タピスリ]をめぐって

パブロ・ピカソ 黄色い背景の女 1937 東京ステーションギャラリー © 2019 - Succession Pablo Picasso – BCF(JAPAN)

 1937年、スペインで起きた無差別爆撃に衝撃を受け、パブロ・ピカソが描いた大作《ゲルニカ》。同年のパリ万博で展示された後、ピカソの意思でフランコ政権の交代までニューヨーク近代美術館に移され、ピカソ死後の81年にスペインに返還された。

 災厄に見舞われた人間たちと牛、馬が交錯するイメージとして完成された《ゲルニカ》は、スペイン内戦に対峙する絵画として反ファシズムのメッセージを訴えるいっぽう、ピカソの革新的なキュビスムの手法や、牛頭人身の怪物ミノタウロスのテーマなどから発展しつつも多様な解釈を呼ぶ、開かれた作品である。

 本展は、《ゲルニカ》とほぼ同寸大で織られたタピスリーを中心に、ピカソの絵画や版画、関連作品などを通して、同作品の様々な側面を見るもの。ピカソの政治・社会との関わり、生涯情熱を傾けた闘牛、さらにタピスリーの誕生秘話や織り師の働きにも注目し、ピカソ芸術の理解を深める機会とする。