EXHIBITIONS

グレゴール・シュナイダー「SUPPE AUSLÖFFELN けりを付ける(スープを飲み干す)」

グレゴール・シュナイダー SUPPE AUSLÖFFELN life action, Odenkirchener Str. 202, Rheydt, Germany 2014 © Gregor Schneider / VG Bild-Kunst Bonn, courtesy WAKO WORKS OF ART

グレゴール・シュナイダー life action, Odenkirchener Str. 202, Rheydt, Germany 2014 © Gregor Schneider / VG Bild-Kunst Bonn, courtesy WAKO WORKS OF ART

 閉鎖された室内インスタレーションを手がけるアーティスト、グレゴール・シュナイダーが日本では4年ぶりとなる個展を開催する。

 シュナイダーは1969年ドイツ生まれ。12歳で作品制作を開始。閉ざされた空間に対する興味と、「時間と空間は過去から未来にかけて蓄積されていく」という考えのもと、自宅の室内に断熱材と鉛で壁をつくり、過去の記憶が残る場所を外部の時間や空間から遮断した新たな空間をつくり続けている。

 2001年、第49回ヴェネチア・ビエンナーレのドイツ館代表に選出され、生死の倫理をテーマとした作品《死の家》で金獅子賞を受賞。その後、ロサンゼルス現代美術館や、K21美術館(ドイツ)、フランクフルト現代美術館、ハンブルグ現代美術館などで個展を開催。日本では、ヨコハマトリエンナーレ2014で初めて大型インスタレーション作品が展示された。

 本展では、シュナイダーが14年にナチス・ドイツの国民啓蒙・宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルス(1931〜45)の旧邸宅で行ったプロジェクトを、立体作品や映像作品によるインスタレーション構成で展示する試み。

 同プロジェクトは、シュナイダーが家を買い取り、ゲッペルスの家財や目録を丁寧に調べ上げ、そして建物の内部を徹底的に破壊し、残骸を廃棄するまでの一連の流れからなる。戦後からほぼ公にされることのなかった家屋の歴史を、戦争や地域性の問題に言及しながら堅強な眼差しをもって明らかにした。本展での公開はアジア初となる。

 なおシュナイダーは、現在開催中の瀬戸内国際芸術祭2019(秋会期、9月28日〜11月4日)と、「アート・プロジェクト KOBE 2019:TRANS-」(神戸市内、9月14日~11月10日)に参加予定。