人食いザメと金髪美女―笑う横尾忠則展

　画家・グラフィックデザイナー、横尾忠則の作品に見る「笑い」の要素に焦点を当てた展覧会が開催されている。

　人食いザメの横で大口を開けて笑う金髪の女性と、パニックの文字が踊る《Panicぱにっくパニック》や、フットボールに置き換わった男性の頭部が宙を舞う《アンリ・ルソー「フットボールをする人々」より》など、本来出会うことのないモチーフ同士の組み合わせや緊張感ある画面への弛緩的な事物の導入、夢を思わせる不条理な場面設定、批評精神あふれるパロディといった、子供の遊びのような無邪気さとシュルレアリスムの手法を併せ持つ重層的な画面構成。これらは、横尾芸術の特徴のひとつといえるだろう。

　本展は、横尾作品に散りばめられたユーモアやウィット、その構成要素となっている謎と毒に注目し、横尾から鑑賞者への挑戦ともとれる「笑いの正体」を探る。