EXHIBITIONS

藍染の絞り 片野元彦の仕事

2019.04.02 - 06.16

片野元彦 木綿地藍楊梅染松皮菱紋巻上絞広巾 1963 昭和38年度日本民藝館展 日本民藝館賞受賞作

 藍染絞りの第一人者として知られる片野元彦。名古屋で生まれた片野は、若い頃は画家・岸田劉生に師事し、洋画家を目指していた。岸田の急逝後には染物を学ぶようになり、藍染絞りの道に専念したのは57歳のとき。日本民藝館の創設者・柳宗悦に、産地である有松・鳴海の絞りの仕事を再興するよう託されたのがきっかけだった。以降、片野は76歳で亡くなるまで「絞染職人」として、天然藍を中心に、植物染料を使った絞り染の着物や服地、暖簾や飾布など生活で使用される布の制作に邁進した。

 毎日の手入れが必要不可欠であり、熟練の技も要する天然藍。糸で縫絞り、あるいは折り畳んで紋様をつけるといった手間暇のかかる仕事に対して片野は、「民族の手仕事として藍染の絞をつなぎ止めたい一心」で取り組んだ。そして、伝統的な技法を踏襲しながらそれまでにない大胆な紋様を生み出した。後にこの紋様は「片野絞」と呼ばれ、現在も継承されている。

 本展では、片野の絞り染作品に加え、師と仰いだ河井寛次郎や芹沢銈介との書簡などの関連資料、片野の写真をあわせて展示。また、父・元彦の仕事を献身的に支え続けた絞り染作家の長女・かほりの作品も紹介する。