EXHIBITIONS

廿日市市市制施行30周年記念事業

七搦綾乃「rainbows edge」

七搦綾乃 rainbows edge Ⅶ 樟 2018

七搦綾乃 rainbows edge Ⅸ 樟 2018

七搦綾乃 金沢21世紀美術館長期インスタレーションルームでの展示風景

七搦綾乃 Non sine solo iris. (太陽無くして虹は無し) 紫檀 2016 撮影=加藤健

七搦綾乃 rainbows edge Ⅷ ドローイング(紙、鉛筆、インク、アクリル絵具 2018

 自然の流れや生き物が朽ちていく姿に美しさを見出す彫刻家・七搦綾乃。広島県を拠点に活動し、近年は、野菜や果物が干からびた形態と、布に覆い隠された人体を思わせる姿を合体した作品「rainbows edge」シリーズを発表している。

 これまでの展覧会に「5RoomsII ー けはいの純度」(神奈川県民ホールギャラリー、2018)、「アペルト 08 七搦綾乃」(金沢21世紀美術館長期インスタレーションルーム、石川、2018)など。主な受賞に、「Tokyo Midtown Award 2017 準グランプリ」(2017)、「第10回 shiseido art egg 賞」(2016)、「トーキョーワンダーウォール公募2014」入選(2014)などがある。

 「rainbows edge」の制作において、極限まで枯れた野菜や果物の形状に、消えない虹を見たと言う七搦。その作品は、人間が触れることができない自然の領域に畏敬を示すと同時に、生き物の行く末の実像として直視させるような緊張感をあわせ持つ。一見不穏であるものの、木目やひび割れを生かした丁寧な彫りが素材の豊かさが感じさせる。

 本展は、「rainbows edge」シリーズを軸に、植物や虹をモチーフとした木彫やドローイングで構成。一連の作品を通して、老いや枯れといった自然現象に、とらえきれない様々な要素や美を見る作家の眼差しを感じ取ることができるだろう。