朽ちていく自然の姿に向き合い、その美しさを見出す。彫刻家・七搦綾乃の個展が金沢21世紀美術館で開催

山や森などの雄大な自然や、虹や霧などのはかなく消えていく自然現象をテーマとし、そこに独自の解釈や見立てを交えた作品を木彫で制作する七搦(ななからげ)綾乃。七搦の個展が、金沢21世紀美術館の若手作家を紹介する展覧会シリーズ「アペルト」にて開催される。会期は2018年4月28日〜9月24日。

七搦綾乃 rainbows edge 2015 © NANAKARAGE Ayano

 七搦(ななからげ)綾乃は1987年鹿児島生まれの彫刻家。2011年に広島市立大学芸術学研究科彫刻専攻を修了し、現在は同大学に助教として勤務している。Tokyo Midtown Award 2017準グランプリ(2017)、第10回 shiseido art egg賞(2016)、トーキョーワンダーウォール公募2014入選(2014)など受賞歴は数多く、現在注目を集める若手彫刻家のひとりだ。今回、金沢21世紀美術館が若手作家を中心に個人形式で紹介する展覧会シリーズ「アペルト」に抜擢され、個展が開催される。

 七搦は、山や木、虹などの自然物や自然現象に惹かれ、それらをモチーフにした木彫を制作している。「自然物にははっきりととらえられない『自然の時間』『死』といったものが潜んでいる。それらに美しさを感じ、彫刻で表そうとしている」と語る七搦。みずみずしい生物が年老い、枯れて、乾燥し、ゆっくりとかたちを変えていく、その変化の中に美しさを見出すという。

 本展ではその木彫作品のなかから、「rainbows edge」シリーズを展示。本作は、乾燥させたバナナの茎などの干からびた植物の形態と、布をかぶった自身の姿とをコラージュし、それを木彫で表すというもの。乾燥した植物となめらかな布の合体は、若さと老いの同居や、布の中に奇妙な生物が隠れているような不穏な印象を与える。しかしそのいっぽうで、仏像や神像のような静謐さや、畏怖をも感じさせるという作品だ。

 生き物が次第に老い、その姿を変えながら朽ちていく。その変化の中に作家が見出す美しさを、実際に作品を見て確認してほしい。

編集部

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