EXHIBITIONS

ケネス・アンガー アイコニック・メモリ

ケネス・アンガー Inauguration of the Pleasure Dome - Anais Nin 1954

ケネス・アンガー Lucifer Rising - Marianne Faithfull as Lilith 1980

 水兵との同性愛をスキャンダラスに描いた『花火』(1947)でデビューし、アンダーグラウンド・カルチャーの旗手として活躍した映画監督、ケネス・アンガー。イギリスのオカルティスト、アレイスター・クロウリーに触発された呪物崇拝的なイメージを主題に、当時の世紀末思想を色濃く反映した暴力と死への誘惑を超克するサイケデリックなヴィジョンを提示して、ドラッグムービーの頂点に立った。

 独自の世界観を開花させたアンガーの作品は実験映画やLGBT映画にととまらず、商業劇映画やコマーシャル・フィルムにまで浸透し、ジャンルを越えて、ミック・ジャガーやジミー・ペイジ、デヴィッド・リンチ、デニス・ホッパーら21世紀のアーティストにも影響を与えている。

 また、アンガーは作品集『マジック・ランタン・サイクル(=幻燈機集成)』に収められる短編映画9編の映像シークエンスを自ら写真作品化することで「夢」や「魔術」、「エロス」、「暴力」などで彩られた映像的記憶(アイコニック・メモリ)を再構築し、時代のアイコンとして示した。

 本展では、この『マジック・ランタン・サイクル』より、幻の神話的大作「ルシファー・ライジング」やアレイスター・クロウリーの思想や儀式をなぞらえた「快楽殿の創造」ほか、「プース・モーメント」「ラビッツ・ムーン」「花火」の写真作品を展示する。