マリタ・リウリア「Golden Age」

　フィンランドを代表する美術家、マリタ・リウリアが日本では15年ぶりとなる個展を開催する。

　アートとリサーチの取り合わせ、文学的思考とビジュアルアーツの結びつき、テクノロジーへの探求心、性差への問いなど、美術史上にないものを創造したいという情熱のもと、唯一無二の世界観を確立するリウリア。その作品は、メディアアート、絵画、写真、ステージパフォーマンス、短編映画、書籍、ゲームなど多岐にわたり、「境界を超えること」が通底している。

　自身の内的世界を探る多様なテーマに挑み、1990年代には世界に先駆け、メディアアート作品を発表し国際的に評価された。2000年以降は、より精神的な世界に入り込み、生きるすべや宗教観に焦点を当てている。

　本展は、2016年の大規模個展「Golden Age」（Serlachius Museum Gösta、フィンランド）をもとに、新作絵画と写真作品を加えて再構成し、リウリアの近年の作品を一堂に展示。絵画作品は、難民問題、自然災害、異常気象、環境汚染といった世界の現状が物語として表現される。そして、フィンランドの人々を撮影した写真作品からは、長年各国を旅してきたリウリアが、いま改めて故郷へ向ける眼差しを感じ取ることができる。