EXHIBITIONS

タン・ディシン

 上海を拠点とするタン・ディシンは、リベラルな発想を持つ1980年代生まれ、「80後」世代の作家。主にペインティングやパフォーマンス作品を展開し、その多くは中国社会や美術業界の制度の下で抑圧される「身体」を題材としている。

 パフォーマンスにおいては他者との関係を模索。2010年の作品《Act of God(不可抗力)》では、上海万博博覧会中に自ら地下鉄の線路に飛び込み、身体の上を電車がすり抜けるまでの様子をビデオ撮影した。現代社会のあり方に対するこのシニカルな表現はニュースにも取り上げられ、様々な論争を呼び起こした。いっぽう、正統な西洋美術を起点とする絵画は内省的で静かな印象を持ち、自らの限界を受け入れながらも、精神的な自由と解放を求める「非力な身体」が描かれている。

 本展では、これまで多用してきた青とグレーに加え、黒やオレンジの色彩が際立つ新作ペインティングを発表。大型のキャンバスに描かれる折り重なった身体は、ものとも風景とも識別がつかないほど主体性を失い、見る者に強烈な印象を与える。

 また、南京滞在中に交流を深めた竹川宣彰との共作となる映像作品《純粋声音》を公開。タンはこの作品について「日本人の友人、竹川宣彰の影響を受けて、私は異なる音を聞き、意味や目的を持たない純粋な音を真似しようと試みました」と語っている。