EXHIBITIONS

現代美術レジデンスプログラム

中村裕太|日本ラインの石、岐阜チョウの道

美濃加茂市民ミュージアム
2018.09.22 - 10.28

中村裕太 緑と黒のストライプモデルを触っていくオスのアゲハチョウ 2018

中村裕太 木曽川近くの菜園でみつけた丸い川石を手につかんだヒト 2018

 美濃加茂市民ミュージアムは「芸術と自然」をテーマに、現代美術家によるレジデンスプログラムを毎年開催。今回は、京都在住の美術家・中村裕太を迎える。

 中村は1983年生まれ。2012年より、日本各地から陶片を拾い集め、その土地の文化や風習を読み解く《日本陶片地図》を制作し、「あいちトリエンナーレ 2016」など国内外の国際展で作品を発表してきた。17年、名古屋市東山植物園で開催された「タイル植物園|熱帯植物の観察術」を契機に、中国古来から伝わる本草学をはじめとした博物学の黎明期へとその関心を広げている。

 本展で発表する作品は、木曽川流域の「石」とそこに生息する「チョウ」の観察から制作を開始。一連の作品には、地理学者の志賀重昴(しげたか)の手紙での一節がきっかけで木曽川沿岸が「日本ライン」と呼称されるようになったこと、昆虫学者の名和靖(なわ・やすし)が下呂市金山町で新種のチョウを「岐阜蝶」と命名したこと。この2つのストーリーラインが設定されている。

 本展は、木曽川の自然や暮らしを所蔵資料とともに再構成しようと試みる作家の足跡をたどるように、展示室から森へと展開される。