EXHIBITIONS

上田暁子 石塚元太良 森本啓太「Worlding − No Oars, No Shore,」

 ポーラ ミュージアム アネックスで、上田暁子 石塚元太良 森本啓太のグループ展「Worlding − No Oars, No Shore,」が開催される。

 上田は1983年京都府生まれ。2006年武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業し、20年ブリュッセル王立芸術大学院絵画科修士課程、23年同大学院の石版画科を修了した。上田は絵画をたんなる再現や表象の手段とはとらえず、何かの事象が変質・変容していく過程やその瞬間、あるいはその成り行きの表現手段として追求する。初期作品でみられたような、静止した画面の中に時間や動きや出来事の連続性を定着させる試みは、近年予測不能な変化や即興性を取り入れた既視感と未視感との往還へと発展している。

 石塚は1977年東京生まれ。2004年に日本写真協会賞新人賞を受賞し、その後11年文化庁在外芸術家派遣員に選ばれる。初期の作品では、ドキュメンタリーとアートを横断するような手法を用い、その集大成ともいえる写真集『PIPELINE ICELAND / ALASKA』(講談社刊)で14年度東川写真新人作家賞を受賞。また、16年にSteidlBookAwardJapanでグランプリを受賞し、写真集『GOLD RUSHALASKA』がドイツのSteidl社から出版される。19年には、ポーラ美術館で開催された「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」展で、セザンヌやマグリットなどの近代絵画と比較するように配置されたインスタレーションで話題を呼んだ。

 森本は1990年大阪生まれ。2006年にカナダへ移住し、12年オンタリオ州立芸術大学(現・OCAD大学)を卒業した。カナダで活動したのち、21年日本に帰国し、現在は東京を拠点としている。バロック絵画や20世紀初頭のアメリカン・リアリズム、そして古典的な風俗画の技法やテーマに強い関心をもち学んできた森本は、これらの伝統を参照し、ありきたりな現代の都市生活のワンシーンを特別な物語へと変貌させる。

 本展は、「世界はどのように立ち現れるのか」を出発点に、上田、石塚、森本がそれぞれ異なる手法で向き合った展覧会である。上田は色彩や形態の変化を通して、像が現れかけては崩れていく過程や、出来事が生まれる瞬間を描き出し、石塚は写真表現を基点に、光や素材の扱いを拡張しながら、時間や空間が重なり合う感覚を提示する。森本は古典絵画を参照しつつ、都市の日常的な風景を描き、「光」を手がかりに現代の現実と歴史的な奥行きを重ね合わせ、見ることや認識のあり方を問いかける。