EXHIBITIONS

SUAM Screening + Rumiko Hagiwara Far Away Hopeful Grand Land/萩原留美子 はるかなる大地へ

佐賀大学美術館
2025.02.28 - 05.11

Far Away Hopeful Grand Land / はるかなる大地へ 2023 / 2024 映像(46分) 助成:モンドリアン財団

 佐賀大学美術館で「SUAM Screening + Rumiko Hagiwara Far Away Hopeful Grand Land/萩原留美子 はるかなる大地へ」が開催されている。

 同館では、長編映像作品を中心に紹介する企画展として「SUAM Screening+」を開始。第1回目は、オランダ・アムステルダムを拠点に国際的に活躍するRumiko Hagiwara(萩原留美子)の九州初個展として開催。

 萩原留美子は群馬県生まれ。東京造形大学を卒業後、オランダに渡り、ライクスアカデミー・アーティスト・イン・レジデンスなどの滞在を経て、現在もアムステルダムを拠点に活動。萩原の作品制作は、日本人としてヨーロッパに身を置くうえでの独自の経験から生まれる疑問や文化の差異が題材になっており、日常生活で見逃される物事や不合理な事象をあえて強調することによって構成される。写真、ビデオ、インスタレーション、パフォーマンスなど、様々なフォーマットを用いて体現された作品群は、微妙かつ時に遊び心のある詩的な表現で、人々に物事への新たな視点を提供する。

 本展の中心となる映像作品《Far Away Hopeful Grand Land / はるかなる大地へ》は、ブラジルに住む日系人に焦点をあてて制作されたもの。サンパウロで有名な日系人街リベルダーデの文字通りの意味である「自由」をめぐり、夢を抱いて新天地を見つけようとした日本人移民への複雑な考察を、オランダで暮らす日本人移民としての自身の視点と、日系ブラジル人女性の証言を重ねあわせた映像で、ユーモラスに物語る。それぞれに語られる経験や思いからは、現代の日本が抱える移民問題やアイデンティティの多様性、自由についての多角的な視野を与えてくれるかもしれない。