EXHIBITIONS

第14回公募セレクション作品

金子直道/シノブ・キイ/升谷絵里香 映像作品展「この揺りかごを -If I could-」

ソニーイメージングギャラリー
2025.02.07 - 02.20

三月の雪 ©Naomichi Kaneko

The First 54 days(of pigeo's life) ©Shinobu Kii

アシミレイト 2020 ©Elica Masuya

 ソニーイメージングギャラリーで、金子直道、シノブ・キイ、升谷絵里香による映像作品展「この揺りかごを -If I could-」が開催されている。

 金子直道は1985年茨城県土浦市生まれ。言語聴覚士・公認心理士として病院で勤務するかたわらで、人・自然との対話をテーマに写真・映像による作品を制作してきた。

 シノブ・キイは北海道出身。学生時代にフォトジャーナリズムと出会い、1996年から98年にロシア民族友好大学文学部ジャーナリズム学科へ留学。放送局や酪農業界などを経て、北海道を拠点にフリーランスフォトライターになる。2014年より水中撮影を始める。北方圏の自然環境や風土、戦争遺産に関心を持つ。

 升谷絵里香は千葉県生まれ。2016年に東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程を修了。2007年より、オブジェクトを用いたパフォーマンスを開始し、文化的背景の異なる国や地域での滞在制作を通じて、ビデオインスタレーションとして作品の制作および発表を行っている。初期の代表的なプロジェクトとして、クリスマスツリーを洗車機で洗う《X洗車 "We 'Wash' You a Merry Christmas"》や、ラジコンボートを使用した《島を動かす / Move the Island》が挙げられる。これらの作品では、場所性に対するアプローチが特徴的である。新型コロナウイルスの流行以降、マルチスピーシーズ(多種共存)の考え方に関心を深め、そのテーマにもとづいた表現活動を展開。

 以下、本展の展覧会ステートメントとなる。

「近年は毎年のように『今年の夏はいままでにない暑さですね』という言葉を交わすようになりました。そして大雨の激しさが極端になるなど、様々なかたちで私たちの生活にも変わりゆく気候の影響を感じるようになっています。本来は南の海に棲む魚が関東の海でも見られるようになったり、さらに南の海ではサンゴの白化現象が広がったりするなど、生き物たちの暮らしにも気候の変化による影響が現れています。

 これらは日本だけで見られるのではなく、世界のあちこちの海や山や森でたくさんの生き物が環境の変化によって種の危機に直面している、棲むところを変えなければならなくなっていると言われています。また、日本では札幌のような大都市にもヒグマが現れたと報じられ、様々な地方でイノシシやシカの姿が場所によっては人里でしばしば見られるようになるなど、人と生き物との関係性にもお互いの生活が影響を及ぼしあうようなニュースも目にします。

 大規模な森林伐採や宅地開発、工場や高速道路の建設など、人が生き物の暮らす場所を壊してしまうことがいまも世界のどこかで絶えず行われています。人や生き物はこれからもこの地球で生き続けていくことができるのでしょうか。私たち人は生き物と互いに影響を及ぼしあい過ぎないようなやり方を見つけ生み出し、この地球で共存し続けていくことができるのでしょうか。身近なところで起きていること。そして、いま見えていないことを想像すること。もしわたしが何かできるなら」(展覧会ウェブサイトより)。