工藤千紘「Prelude」

　tagboatで、工藤千紘による個展「Prelude」が開催されている。

　工藤千紘は、名古屋芸術大学大学院を修了後、損保ジャパンFACE展やシェル美術賞で入選。柔らかなタッチと滲むような色彩で描かれる人物像には、優しさや穏やかさだけでなく、不安や怖さを感じさせる静かな迫力がある。誰もが抱える不完全さや揺らぎが生む魅力を描き出すことで、内側の深い真実を映し出そうとしている。

　本展は、これから始まる自身の物語の前触れを意味し、作家の「やりたい」と感じたことをすべて詰め込んだ空間となっているという。130号や120号といった大型作品を含む新作は、新たな技法や表現にも挑戦しており、変形キャンバスや綿布にアクリルで描かれた作品も展示されている。