レイチェル・アダムス 2014-2020

　Yoshimi Artsで、グラスゴー（スコットランド）で活動しているレイチェル・アダムスによる個展「レイチェル・アダムス 2014-2020」が開催されている。

　2013年にロンドンのSaatchi Galleryで開催されたグループ展「Paper」でアダムスが発表していた彫刻作品は、一見古典的なブロンズ像や石像の位相を持っていたが、近づいて見ることですべて着色された紙で形づくられたものであった。

　その後、同廊では、2014年のグループ展「"Material and Form" in a digital age」にアダムスを出品作家として招き、2015年には日本初個展となる「Open Studio」を開催。「Open Studio」で見せた、手染めの布地と、高度なデジタル処理技術によってつくられたアクリル製のオブジェクト、伝統的な彫刻手法と道具を用いた新しい彫刻のシリーズは、歴史に対する私たちの知覚概念と、アートとデザインを隔てている構造の矛盾点を浮き彫りにした。2021年の個展「Home Grown」では、2020年の世界的なパンデミックの発生により社会や人々の生活は一変し、アダムスが暮らすスコットランドでも幾度ものロックダウンが行われた状況下で制作した、毎月定期購読しているインテリアとデザインの雑誌『ELLE Decoration』（UK）からキノコが生えている様相の作品を発表。

　本展では、現代のイギリスの作家であるアダムスがこれまで同廊で発表した彫刻作品を、観者が正対するような設定で展示している。