Everyday Enchantment 日常の再魔術化　ビアンカ ボンディ / 小林椋 / 丹羽海子

　シャネル・ネクサス・ホールで「Everyday Enchantment 日常の再魔術化　ビアンカ ボンディ / 小林椋 / 丹羽海子」が開催されている。

　2024年、オープン20周年となるシャネル・ネクサス・ホールは、UCCA現代アートセンターのディレクターであるフィリップ ティナリをアドバイザリーに新たに迎え、異文化交流および対話と芸術的コラボレーションのためのプラットフォームとなるべく、新たな取り組みを始めた。

　10月19日からは、長谷川祐子（金沢21世紀美術館館長、東京藝術大学名誉教授）が次世代キュレーターを育成する「長谷川Lab」とのコラボレーション企画として、新たな展覧会シリーズをスタート。アートがいま、人々にどのような視点を提案できるかという挑戦でもあるこの企画では、長谷川Labの若手キュレーターを起用し、彼らのフレッシュな視点を取り入れながら、次世代を担う様々な才能たちの対話を生み出すことを目指す。そこで提案されるフォーミュラとの出合いは、見る人々に新しい価値観やライフスタイル、美学を見出すきっかけをもたらしてくれるだろう。

　展覧会のタイトルは「日常の再魔術化（Everyday Enchantment）」。本展では、それぞれフランス、日本、アメリカを拠点に活動するビアンカ ボンディ、小林椋、丹羽海子の3名の作品を紹介。長谷川祐子のアーティスティックディレクションのもと、シリーズ1回目のキュレーションは「長谷川Lab」の佳山哲巳とフィン ライヤンが担当した。

　すべてのものが情報化されデジタル化されている今日の私たちにおいて、謎や、未知の想像力を掻き立てられる領域は狭くなっている。本展は、日常のなかに隠された魔術を再発見するよう観者を誘う。3名のアーティストは、植物や道具などの見慣れたものを魔術のように変容させ、そこに独自の生命と物語を与える。

　ボンディがつくり出す神秘的なタペストリーは、苔やクリスタルなどミクロな生命の形成に形を与え、小林は身近なオブジェクトを活気に満ちた踊る存在として組み直し、丹羽の妖精のような可憐なオブジェは彼女の個人的なストーリー、テキストと絡まって、エコフェミニズムを語る。それらは現代の創造神話のなかで、主体性、独自のキャラクター、そして希望を持って共存する。

　シャネル・ネクサス・ホールを創造的な庭園に変え、その空間を巡ることで、人間と非人間、有機物と人工物の境界を曖昧にし、すべての存在が変容、調和して共存する未来のヴィジョンを提示する。