EXHIBITIONS

キュレーション公募2024

おもはゆいふかみ abyss-visage

ギャラリー無量
2024.10.12 - 11.11
 ギャラリー無量で「キュレーション公募2024 おもはゆいふかみ abyss-visage」が開催される。

 本展は、ギャラリー無量主催の第3回目となる「キュレーション公募」だ。公募では、尺戸智佳子、長谷川新、松江李穂、鷲田めるろ(五十音順)の4名による審査のもと、キュレーター、waxogawa・小川楽生の案が採択された。

 キュレーターである waxogawaはこれまで、biscuit gallery curator projects「帰路にまざまざと知る」(biscuit gallery)や、「崩れ」(デカメロン)など、インディペンデント・キュレーターとして活動。山梨県河口湖を拠点とする「6okken」所属キュレーターとしても、芸術祭「ダイロッカン」のシンポジウムコーディネーターを務めた。

 waxogawa のキュレーションは、先天性の重度難聴という自身の立場と、人類学や文学理論に響を受けた人文知的パースペクティブを組みあわせた態度を特徴としている。直近の展示、「帰路にまざまざと知る」(biscuit gallery)では、「高速道路的な知覚」を主軸とし、ヨーロッパ的な美術制度と、日本におけるアートマーケット上の構造的な問題への応答としてのキュレーションを試みた。

 本展についてwaxogawaは、以下のステートメントを発表している。

「今回のキュレーション展において、私が思考の足がかりとしたのはふたつの軸だ。ひとつは、東京中心主義的に見える現代アートの趨勢に対して、富山ないし日本海側の『田舎』的な風景や地政学的/空間的な状況が、どう機能するのか、ということ。そしてもうひとつは、ギャラリー無量内部にある白い壁と、畳のある部屋、仏間と神棚、ギャラリースペースの混在する雑食的な支持体をもとに、どのような展示が立ち上がるのか、という関心。このふたつだ。

 この両軸を考えるための補助線として、『ガソリンスタンド』という概念を導入することにしてみた。東京と富山、『田舎』的な風景とホワイトキューブをつなぐのは一言い換えれば、日本の中心を走る山脈群をつらぬき、ひとつの同時代性を発生させるのは、『移動』に関わる概念と言える。飛行機であれ車であれ、隔たりをつなぎ、距離感を測定可能なモードへ切り替えるのは、エンジンであり、ガソリンである。

 この補助線とアーティストら3名、田中小太郎、山崎結以、Marco Rossettiの力を借り、根源的な連帯と、顔のおぼろげな形象を、ガソリンスタンドの声をききながら探りなおしてみる。人間的な形象(figure)がくたびれ、組み替えられ、分裂し、多頭化しているこの時代に、そして、神も仏も西洋も東洋もないこの多島海のような場所で、あらためてもうひとつの人間性を探り出すための、キュレーションをここで考える」。