EXHIBITIONS

大正・昭和のモダニスト 蕗谷虹児展

2024.10.05 - 11.24

蕗谷虹児 睡蓮の夢(『睡蓮の夢』原画) 1924 蕗谷虹児記念館蔵

 平塚市美術館で「大正・昭和のモダニスト 蕗谷虹児展」が開催される。

 蕗谷虹児(1898〜1979)は新潟県生まれ。1913年に日本画家を目指して上京するが、竹久夢二の紹介で少女雑誌の挿絵を描くようになると、またたく間に時代の寵児となる。25年には本格的に絵を学ぶためにパリに留学し、サロン入選や個展の開催により、画家として活動していくことに自信を深める。しかし、29年に生活のために志半ばで帰国。その後は再び少女雑誌の仕事を手がけ、30年代にかけてモダンな女性像により人気の絶頂を迎えた。

 戦後は、童話や絵本の挿絵のほか、アニメーションの仕事にも取り組み、少女向けの仕事から離れて新たな境地を開拓。晩年は、個展を中心に可憐な少女像を発表して変わらぬ人気を博し、79年に80歳でその生涯を閉じた。

 本展では、少女雑誌の表紙や挿絵の原画、パリ時代の作品、童話や絵本の挿絵の原画、アニメーションの原画など約450点を一堂に展示し、およそ60年におよぶ虹児の画業を回顧する。大正から昭和戦前期にかけて、文化や芸術が大衆のものとして浸透していく過程で、出版界の花形として虹児が果たした役割の大きさを感じ取るとともに、戦後の児童文化に残した足跡を見ることのできる展覧会となりそうだ。