EXHIBITIONS

中野正貴 写真展「Patho(パトス)」

2024.08.02 - 09.24
 キヤノンギャラリー Sで、中野正貴の写真展「Pathos(パトス)」が開催される。

 中野は、1955年福岡県生まれ。79年に武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン科を卒業し、秋元茂に師事する。80年に独立し、雑誌表紙や各種広告撮影を手がける。2001年に写真集『TOKYO NOBODY』で日本写真協会賞新人賞を受賞。その後、第30回木村伊兵衛写真賞、さがみはら写真賞を受賞した。19年には、東京都写真美術館で写真展「東京」を開催。

 本展に際し、中野は以下のステートメントを発表している。

「写真展タイトルのPathos(パトス)とは、ギリシャ語で情熱、欲情、情念、哀愁など快楽や苦痛を伴った能動的な感情状態を意味する。展示の2つの柱となっているのはキューバと香港だが、いづれも2000年前後に撮影したもので、新しい世紀に突入する希望と不安が交差する心揺れる時代であった。[中略]

 中国、韓国、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピンなどの東アジア諸国の写真も、其々の国の歴史に照らしあわせてみれば、様々な感情が見え隠れする。美しい自然に囲まれたニューカレドニアの風景には、先住民族の想いやフランス領としての影響を読み解くことができるし、いまは平和なグァムの海岸風景にも第二次世界大戦時の占領地であり戦地であったことに想いを馳せれば、どこか切ない感情も芽生えてくる。海外に足を運びその地に立てば、その国々の地理的状況による他国との結び付きや因縁等を明確に知る事ができるが、やはりどの時代のどの国においても歴史はある特定の人々の感情の趣きによって動かされてきたという史実も明らかになる。

 喜び、恐れ、怒り、悲しみという人間の根本的な感情がその国の風土と化学反応を起こすように融合して独自の文化を生み出し国を形成する。人間は感情をコントロールすることで困難な状況にも対応できる術を身に付け生きているが、歴史を動かす力の大きさは、その国の人々が持つ精神力と情熱の量に比例する。人間の放つエネルギーは素晴らしい」。