EXHIBITIONS

企画展

鍋島と金襴手―繰り返しの美―展

2024.04.17 - 06.30

色絵 更紗文 皿 鍋島 江戸時代(17世紀後半) 口径 15.9 cm 戸栗美術館所蔵

 戸栗美術館で、企画展「鍋島と金襴手―繰り返しの美―展」が開催されている。

 整然と器面に続いていく文様。器種や時を越えて何度も出現する図様。江戸時代に佐賀でつくられた鍋島焼や金襴手(きんらんで)様式の伊万里焼のデザインのなかには、「繰り返し」の手法が見られる。

 鍋島焼は、佐賀鍋島藩から徳川将軍への献上を目的に創出されたやきものである。佐賀・伊万里の大川内山(おおかわちやま)の藩窯にて製作されたもので、17世紀末期には様式が確立された。洗練されたデザインが数多見られ、唐花文や更紗文、桃文などを繰り返し連続させた構図もそのひとつとなっている。同じ図様が時代を越え、踏み返されることも珍しくない。

 いっぽう、伊万里焼の金襴手も、17世紀末期に成立した様式。佐賀・有田の民窯で焼造され、国内外で人気を博した。様々な文様を組みあわせた緻密な構成が特色であり、皿と猪口などと器種をまたいで表される、定番の唐草文や幾何学文が見られる。色違いで表現される図様は、染付で骨格を描き上絵で彩色する、染錦(そめにしき)ならではの楽しさがある。

 藩の献上および贈答品であった鍋島焼と、国内外で需要された伊万里焼という性格の違いはあるが、同時代に成立した両様式のなかには、「繰り返し」という共通したデザインの方向性が認められる。本展で、約80点が織りなす、「繰り返し」の美を堪能してほしい。