EXHIBITIONS

開館一周年記念

加山又造 ―革新をもとめて

加山又造 音

 下瀬美術館で、開館1周年を記念した展覧会「加山又造 ―革新をもとめて」が開催されている。

 本展は、昭和から平成の時代に日本画の旗手として目覚ましい活躍をした加山又造(1927〜2004)の多様な造形の軌跡を追う。

 第二次大戦後の厳しい社会情勢のなか、日本画壇の前近代的な体質への批判から「日本画滅亡論」が唱えられていた。こうしたなかで加山は「世界性に立脚する日本絵画の創造を期す」とした創造美術展に出展し、そのキャリアをスタートさせる。ラスコーの洞窟壁画やブリューゲル、キュビスム、シュルレアリスムなど西洋絵画の造形手法を取り入れた革新的な作品を発表し、約10年ごとに作風を変える新規性はその度に注目を集めた。その活躍は日本画にとどまることなく、版画の制作や工芸家との共同制作にも積極的に取り組み、多彩な作品を次々と生み出す。

 本展では、加山が初期に発表した動物シリーズを始め、人気を博した猫の作品、師の山本丘人の影響の見られる山岳風景、日本の伝統的絵画表現による梅や桜の作品、そして近世の日本絵画、北宋画を参照して生み出した新しい水墨画など20点あまりが並ぶ。さらに工芸家と共同で制作した陶芸や着物など加山の多彩な活躍も紹介している。

 可動展示室では加山の絵画を映像とともに詳しく解説し、加山と同時期に活躍した東山魁夷や平山郁夫などの日本画や、加山と親交のあった小磯良平の油彩画を下瀬コレクションから公開。館内庭園の春の草花とともに楽しむことができるエミール・ガレの花器も展示している。