EXHIBITIONS

AWC(アートワーカーズ連合)アーカイブ展

語らい座 大原本邸
2024.04.19 - 05.03

Art Workers’ Coalition demonstration in front of Picasso’s Guernica, Museum of Modern Art, New York, 1970. Photograph © Jan van Raay.

 語らい座 大原本邸で「AWC(アートワーカーズ連合)アーカイブ展」が開催される。

 アートワーカーズ連合(Art Workers' Coalition、AWC)は、1960年代末にニューヨークで結成されたアーティストや批評家たちによる連合。AWCは、美術館や企業のベトナム戦争への加担、美術館制度の特権性、労働者としてのアーティストの権利などに焦点を当て、様々な行動を起こした。現在にも通じる重要な問題提起を数多く含んでいるが、同時に、組織内部に人種差別、性差別が拭がたく含まれており、AWC自体は数年で活動を終了。

 それでもなお、当時「アートワーカー」を自称し、行動をともにした人々がいたこと、そこでどのような問題が浮上し、未解決に終わり、そうした問いが引き継がれていったのかを検証することは、いまの日本においても有効と言える。2023年2月、国内でも「アーティスツ・ユニオン」が結成され、今年3月には、ジュリア・ブライアン=ウィルソンによるAWCの研究書『アートワーカーズ 制作と労働をめぐる芸術家たちの社会実践』(フィルムアート社、高橋沙也葉/長谷川新/松本理沙/武澤里映=訳)の翻訳が出版。川上研究室もこれまで『アートワーカーズ』訳者の高橋沙也葉、大原社会問題研究所の藤原千沙を招聘し展覧会に向けたプレイベントを開催してきた。

 本展では、おもに写真資料を中心に、AWCの活動を振り返る。現在の美術実践はもちろん、人種、性差、戦争をめぐる芸術と社会環境を考える契機となる展覧会といえるだろう。