川島秀明「Stream」

　小山登美夫ギャラリー六本木で、川島秀明展「Stream」が開催されている。

　川島は、活動初期から一貫して強い自意識と向き合い、様々な顔とそこに現れる憂いを帯びた繊細な目や表情を描いてきた。それは20代に2年間比叡山で仏教修行をした経験なども経て、その時々の感情や試行錯誤をかさね、自分の心情を象徴的に投影した、自画像に近いものだったという。

　これまでアクリル絵具による薄く淡い色の巧緻なグラデーションが特徴的だった川島作品だが、近年のコロナ禍や、肉親、親しいアーティストの死をきっかけに「自らの死」を意識するようになったことで、川島は絵を始めた若かりし頃の屈託の象徴である油絵具への苦手意識を昇華させ、色鮮やかな本出展作品はすべて油絵具で描かれている。

　新たな気持ちの煌めきを映し出す、最新の川島の世界観を堪能してほしい。