EXHIBITIONS

没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる

2024.03.16 - 05.12

板塀、追分、秋田、1953年 © Naoko Kimura

 東京都写真美術館で、日本近代写真の巨匠・木村伊兵衛(1901〜1974)の没後50年展「没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる」が開催されている。

 木村は、1920年代に実用化が始まったばかりの小型カメラに写真表現の可能性をいち早く見出し、それを駆使した文芸諸家のポートレート、あるいは東京下町の日常の場面を素早く切り取るスナップショットで名声を得た。33年に開催された「ライカによる文芸家肖像写真展」では、従来の型にはまった肖像写真ではなく、被写体の一瞬の表情の変化をとらえる独自のスタイルを確立。また、36年には初めて沖縄を訪れて生活感にあふれた日常を記録するなど、「ライカの名手」としてのその名を馳せた。ほかにも、広告宣伝写真や歌舞伎などの舞台写真、カラーフィルムによる滞欧作品、秋田の農村をテーマにするシリーズなど、様々な被写体をとらえた傑作を数多く生み出してきた。

 本展は、日本の写真史に大きな足跡を残した木村の功績を回顧するものとなる。会場では、これらの作品のほか、最近発見されたニコンサロンでの木村伊兵衛生前最後の個展「中国の旅」(1972〜73)の展示プリントも特別に公開。