EXHIBITIONS

倉谷卓「through glass」

2024.02.03 - 03.02

倉谷卓 through glass F_#1 2023 ©︎ Kuraya Takashi, courtesy KANA KAWANISHI GALLERY

 KANA KAWANISHI GALLERYで、倉谷卓の個展「through glass」が開催されている。

 倉谷は1984年山形県生まれ、東京在住。2005年に日本写真芸術専門学校を卒業し、11年には塩竈フォトフェスティバルで写真賞大賞を受賞した。13年と14年に、TOKYO FRONTLINE PHOTO AWARD審査員賞受賞。近年の個展は「I was you, you will be me」(Art-Space TARN、2022)、「アリス、眠っているのか?」(Hasu no hana、2019)、「Ghost's Drive」(ニコンサロン銀座・大阪、2018)など。

 倉谷はいわゆるストレート写真で作家デビューを果たして以降は、数々のシリーズを継続して制作しており、写真をもちい様々な人間の所作や営みをアイロニカルな眼差しで露わにしてきた。本展で初発表される新作《through glass》は、作家がネットオークションで購入した40年代頃の写真乾板を撮影したシリーズだ。

 入手したもののなかから傷や汚れがあるものを選び、傷や汚れが見えるように撮影し、ネガポジ反転した後に、AIをもちいてカラー化されている。「写真に写らなかったものや、(写真が経過した)時間を想像することが重要」であると語っている倉谷にとって、写真についた「傷や汚れ」は、写真に写されたものと同等あるいはそれ以上の意味を持っており、ネガポジ反転、カラー化の過程は、倉谷にとって写らなかったもの・時間を「現像」したいという意思の表れと言える。本展に際し、倉谷は以下のステートメントを発表している。

「選ばれたフレームの外側、一瞬のシャッターの前後にあったものを想像したい。写真は無数に増えていくけれど、写されたものより、写されなかったものの方が多いのだから」。