EXHIBITIONS

村上友晴 一なるもの

2023.12.18 - 2024.01.19

Courtesy: YOKOTA TOKYO

 YOKOTA TOKYOで「村上友晴 一なるもの」が開催されている。

 村上友晴(1938〜2023)は福島県生まれ、61年東京藝術大学日本画科卒業。同年に専攻科に入学するが3ヶ月で中退し、当初は「村上友康」の雅号で日本画家として活動を開始する。26歳のときにアメリカ抽象表現主義の作品に感銘を受け、大きなキャンバスに黒の下地を塗り、ペインティングナイフで木炭粉を混ぜた絵具を重ね置いて、重厚な画面をつくり上げる独自の手法を生み出す。

 75年に雅号を捨て、約10年の空白期を経て「村上友晴」の名で現代作家として再出発。90年代には、白い紙の表面に鉛筆やニードルの痕跡を残した繊細な作品で新境地を見せる。79年、北海道のトラピスト修道院を訪れたことをきっかけにカトリック教会の信徒となった。修道院の生活に倣いながら、一つひとつの作品を丹念に制作し、神に祈りを捧げる静謐な絵画は深い精神性を湛えている。

 本展は、同廊で長年紹介してきた村上の追悼の意味をもった展覧会となっている。