小村雪岱－Seeking Traces of the Faces of Beauty

　清水三年坂美術館で 「小村雪岱－Seeking Traces of the Faces of Beauty」が開催されている。

　大正から昭和初期にかけて活躍した画家、小村雪岱（1887〜1940）は、本の装幀、挿絵、舞台美術などの分野に新風を吹き込み、独自の美の世界をつくり上げた。大胆な構図、美しい描線、気品ある色彩によって巧みに描き出された作品の数々は、現在においても色褪せない。写生や写実よりも心惹かれた情景や女性の面影を好んで描いた雪岱は、江戸の情緒漂う作品を数多く残し、描かれた女性たちのしなやかな姿体や凛とした面差しは、独特の女性美をたたえている。

　同館では、数少ないと言われる肉筆画を中心に、木版画、装幀本を収集してきた。なかには、雪岱唯一の弟子、山本武夫より譲り受けたコレクションも含まれている。本展では、前期と後期に分けて肉筆の美人画、風景画、挿絵、舞台装置原画、装幀本を紹介するとともに、同館が所蔵する櫛、簪（かんざし）、帯留などもあわせて展覧する。