田原桂一「トルソー」

　VLC Gallery by AKIO NAGASAWAで、田原桂一による個展「トルソー」が開催されている。

　田原は1951年京都府生まれ。71年に渡仏し、日本の柔らかい光とは違う、ヨーロッパの鋭い光に衝撃を受け、写真家として活動を始める。 77年、26歳にしてシリーズ「窓」でアルル国際フェスティバル大賞を受賞、一躍世界的な脚光を浴びる。2006年までパリを拠点とし、フランス政府からのプロジェクトをはじめ、光をテーマに写真、彫刻、インスタレーション、建築と幅広いジャンルで活躍し日本、ヨーロッパにて数多くの展覧会を開催している。

　約1年半にわたり会期を四期に分け開催している田原桂一展の第三期となる本展では、87年から95年に田原がフランス・パリのルーブル宮殿で撮影した石像のシリーズを発表する。石の地肌の奥深くに熱を蓄え、細胞分裂を繰り返すがごとく、エネルギーをやわらかく発光させ、長い年月のうちに表層からつややかな輝きを放つ石像の、人々の空想、あるいは理想の肉体へと限りなく近づいていく様をとらえた作品となっている。