私たちは何者？ ボーダレス・ドールズ

　渋谷区立松濤美術館で「私たちは何者？ ボーダレス・ドールズ」展が開催される。なお、本展は前期と後期に分かれて開催され、展示替えも予定されている。

　日本において「人形」といえばお雛様やフィギュアが想起されることが多いが、人形の歴史を振り返ると、民俗、考古、工芸、彫刻、玩具、現代美術と幅広いジャンルのボーダーラインを飛び越えてきた存在であることがわかる。

　本展は、その体系化されきらず一括りにできない様相を、「芸術」という枠に押し込めることなく紹介するもの。展示構成は、「それはヒトか、ヒトガタか」、「社会に組み込まれる人形、社会をつくる人形」、「「彫刻」の誕生、「彫刻家」の登場」、「美術作品としての人形 ―人形芸術」、「戦争と人形」、「夢と、憧れと、大人の本気と」、「まるでそこに「いる」人形 ―生人形（なまにんぎょう）」、「商業×人形×彫刻＝マネキン」、「ピュグマリオンの愛と欲望を映し出せ！」、「ヒトガタはヒトガタ」の全10章。

　平安時代から現在までの人形を通じて、日本の立体造形の根底に脈々と流れてきた精神を問う展示となるだろう。