西雄大「交差する輪郭」

　VOILLDでは新たなスペースでの記念すべき第一弾の展覧会として、西雄大による新作個展「交差する輪郭」が開催される。

　西は愛知県生まれ、2014年に京都精華大学デザイン学部ビジュアルデザイン学科イラストコースを卒業。現在東京を拠点にペインターとして活動している。西は、80年代のアメリカンコミックやヒーロー、ストリートアートなどの影響を受けながら、イラストレーションやデザイン、建築など、自身の経験をルーツに作品を制作している。一見するとコミカルでシンプルに見える作品群は、緻密な構図と筆使いで描かれており、現代における物質に対する価値観や、複雑に入り組んだコミュニケーションのかたち、多様化する個性の在り方への皮肉などが隠されている。

　本展では、平面でしか存在しない輪郭線（アウトライン）を、交差させることで協和的なイメージが生まれることに興味を抱き制作された新作の平面作品による新作シリーズ10点を展示する。西は、小さな石やガラクタ、骨董品、民芸品などからのインスピレーションをはじめ、コラージュや色鉛筆、水彩など様々な手法を用いて実験的にスケッチブックに描いた膨大な数のドローイングがアイディアソースとなっている。異なるテクスチャやメディアを観察し、自身の美的観点や、立体と平面の影響や関係性について分析を繰り返すことで、シンプルな表現のみで、二次元と三次元を行き来しているかのような奥行きや、見るものが自由に解釈できるようなモチーフの可能性を体現している。