EXHIBITIONS

幸田千依 公開制作「今、絵のまえで会いましょう」

2023.05.10 - 07.15

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 LOKO GALLERYで幸田千依による公開制作「今、絵のまえで会いましょう 」が開催されている。

 幸田千依は2007年に多摩美術大学絵画学科油画専攻を卒業。以降、国内外の様々な土地や空間に身を置き、自身も場所、人々、日常の一部となりながら描くことに向き合ってきた。水や光、人物や群集などの動きやエネルギーをモチーフとすることが多かったが、近年は家族とともに暮らす自宅兼アトリエをその活動拠点とし、定点観測にも似た手法で窓からの風景を切り取る実践を重ねている。

 2022年の府中市美術館に続くホワイトキューブでの公開制作となる今回、幸田はモチーフに静物を選択。静物画は、いちジャンルとして確立した当初こそ「Still Life(動かない命)」と蔑称されたこともあったが、画面上での複数の視線の交差や対象の解体と再構成といった現代美術に続く手法へと接続されてきた。

 ギャラリー空間に設置されたテーブルには、一つひとつ所有者の異なる動かないモチーフが並ぶ。約2ヶ月間にわたる公開制作を通して、幸田はそれらの「他者」と向き合い、一枚の静物画を完成させる予定だ。対象を「見る」という行為を通して生(せい)の文脈を描き出し、鑑賞者それぞれが自身の生の経験をもって、「見る」ことに開かれた幸田の絵画。その過程を目撃できるまたとない機会だ。