「VOCA展」は、平面美術の領域で国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に、1994年より毎年開催されている展覧会。今回を含め、これまでに延べ821人の作家が出展し、過去には村上隆をはじめ、大竹伸朗や奈良美智、山口晃なども出品している。同賞は、全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストなどから推薦委員を選出し、それぞれが40歳以下の若手作家1名を推薦、推薦された作家全員に展覧会への出品を依頼するもの。今回は35名が出品し、この中からVOCA賞(1名)、VOCA奨励賞(2名)、佳作賞(2名)が選考会によって決まったほか、大原美術館賞(1名)が同美術館独自の選考を経て決定した。受賞作家は以下の通り。
VOCA賞:幸田千依(こうだ・ちえ、1983年生まれ) 《二つの眼を主語にして》
VOCA奨励賞:上田良(うえだ・やや、1989年生まれ) 《4つのオブジェと1つの視点》
VOCA奨励賞:鈴木基真(すずき・もとまさ、1981年生まれ) 《Ghost #4》
佳作賞・大原美術館賞:青木恵美子(あおき・えみこ、1976年生まれ) 《見知らぬ果ての》、《PRESENCE No40》
佳作賞:村上華子(むらかみ・はなこ、1984年生まれ) 《ANTICAMERA(OF THE EYE)#E1》、《ANTICAMERA(OF THE EYE)#P4》
なお、今回の選考委員は建畠晢(選考委員長/多摩美術大学学長)、本江邦夫(多摩美術大学教授)、島敦彦(愛知県美術館館長)、光田由里(DIC 川村記念美術館学芸課長)、柳沢秀行(大原美術館学芸課長)が務めた。建畠選考委員長は次のような選考所感を寄せている。
今回の VOCA 展は写真をも含めた平面による表現の多彩な可能性を改めて認識させてくれるものであった。VOCA賞の幸田千依の作品は一見穏当な風景画だが、近景と遠景の関係や空間の中の光への眼差しに独自の感覚が宿っている。奨励賞の上田良の作品では自らが制作したオブジェを撮影しインクジェットプリントにするという方法によって、表現的な要素の意味を中立化するというユニークなイメージに注目させられた。
作品画像と選考所感を追加掲載しました(1月17日)
会場風景を追加掲載しました(3月10日)