EXHIBITIONS

金氏徹平 個展「POOOPOPOO」

© Teppei Kaneuji Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 ユミコチバアソシエイツでは、金氏徹平の新作個展「POOOPOPOO」が開催されている。

 金氏は1978年生まれ、京都在住。多種多様なイメージやオブジェクトを複雑にコラージュし、多重レイヤー化した彫刻やインスタレーションなどを制作してきた。2011年以降は、それぞれのシリーズで実施してきたコンセプト、造形システム、作品空間を拡張するように、演劇の舞台美術も積極的に手がけている。

 2019年、ロームシアター京都にてチェルフィッチュとともに舞台『消しゴム山』を手がけ、翌年にはその美術館バージョンである「消しゴム森」を金沢21世紀美術館で協働で制作した。このように近年の金氏の活動は、美術館やギャラリーといった空間を超え、大きな空間のなかで縦横無尽に鑑賞者を巻き込んでいく展開を見せている。

 本展では、制作のスタート地点である小さな空間を再認識しつつ、近年の活動をさらに絵画空間へと拡張・展開する、新作シリーズ「POOOPOPOO」を発表する。

 新作シリーズは、凹凸や厚みのある物質にプリントする印刷技術を使って制作された、物質とイメージ、立体性と平滑性などが絡まり合う、複雑な層構造からなる作品だ。金氏は以下のステイトメントを出している。

「タイトルのpとoの羅列は途中までは正確に作品の制作プロセスの順番を追っているが、途中からは無意味なフィクションです。photo、on、phenomenon、oil、paint、of、picture、object、panel、over、pour、or、print、opposite、planet、optimize、paper、、、液体としての写真、絵。"oil on photo"、"写真の写真"から"photo on oil"、"絵の写真の絵の写真”。これらの作品は絵画ではなく、コラージュによって空間を作り出す彫刻だと考えています。一時的な単位、空間、歴史、集団、価値、を作り、それがまたバラバラになったり、別の何かに変化していく。閉じた一つとして見えていたものを、解体し、それ自体をマテリアルとして見て、それらの層の中に空間を作ることで異物やフィクションが紛れ込む余地を作っています。」(金氏徹平)