EXHIBITIONS

齋藤芽生「夜影記」

齋藤芽生 浄蓮(「踊場酒場」より) 2022

齋藤芽生 漁火(「踊場酒場」より) 2022

齋藤芽生 夜影記(予告編) 2022

 ギャラリー・アートアンリミテッドでは、齋藤芽生(さいとう・めお)の個展「夜影記」が開催される。本展は「六本木アートナイト2022」(9月17日~19日)の連動企画。

 齋藤は1973年東京都生まれ。東京藝術大学教授。図鑑形式で博物誌のように世界を描き、不在の住人を団地の窓の風景で表現するなど、現実と幻想を交えた独自の絵画を展開してきた。また「四畳半みくじ」といった、言葉による稀有な才能も発揮している。

 本展は六本木アートナイト2022に合わせ、夜にまつわる絵画の契機となった初期作「踊場酒場(おどりばー)」(2003)に、新作の絵画を加えて展示する。

「踊場酒場」とは、齋藤の原風景である団地の踊場が、もしバーであったらという着想から生まれた連作だ。初期のストイックで緻密に構築された仮想のバー空間には、孤独と哀愁が漂っている。また題名は、現代社会の失われた文学性を嘆き、小説や歌謡曲の一節から命名された。

 齋藤にとって制作に欠かせないこの「旅への視点」を、今回、初の映像作品として公開。都市をさまよい、旅を源泉としてきた齋藤が、現実の風景をどのように絵画へと昇華させるのか、ヒントともなる興味深い内容になるという。