EXHIBITIONS
田村友一郎「N」
アーティスト・⽥村友⼀郎の個展「N」が、六本⽊のKOTARO NUKAGAで開催される。
⽥村は1977年富⼭県⽣まれ、京都府在住。既存のイメージやオブジェクトを起点にした作品で知られる。「アジア・アート・ビエンナーレ2019」(台北)や2020年の「ヨコハマトリエンナーレ」(横浜)、現在開催中の「国際芸術祭あいち2022」(名古屋)など国際的な芸術祭や展覧会にも招待され、国内外から注⽬される作家のひとりだ。
本展は⽥村にとってKOTARO NUKAGAにおける初の展覧会。⼤きく2つの世界をほのめかす、様々なオブジェクトの集合と、それらつながりの⾒えない2つの世界に橋を渡す1枚のアナログレコードによって構成される。
2つの世界のうちひとつは、⼟星の第6衛星であり最⼤の衛星「タイタン」をほのめかす。「タイタン」は太陽系のなかで、地球を除いて唯⼀豊富な⼤気を持つ衛星。その⼤気の⼤部分は「窒素(nitrogen、N)」で占められ、⻩⼟⾊を基調とした乾き切った世界観は窒素の充満する「タイタン」の表⾯であり、今回の展示において、⽥村により導き出された「N」の世界があらわれる。
「N」は「エヌ」と読まれ、「エ・ヌ」という2⾳節を⽇本語的にひっくり返すと「ヌ・エ」とすることができる。ここで、⽥村は「ヌエ」と発⾳される言葉から、『平家物語』などにも登場する「鵺(ぬえ)」を挙げる。鵺は、サルの顔、タヌキの胴体、トラの⼿⾜を持ち、尾はヘビという⽇本で伝承される物の怪のこと(⻄洋的な表現をすればキメラにあたる)で、「鵺」は能の演⽬としても知られている。
⻩⼟⾊を基調としたひとつ目の世界に対し、もうひとつの世界は、私たちが寝静まった夜に訪れる紺⾊を基調とした裏⾯の世界として表現される。⼀⾒、何のつながりもないこれら2つの世界はレコード盤の表と裏のように「N」というアルファベットの表裏としてあらわれた世界である。そして「N」は不眠症のN⽒を起点にした⽥村による物語りであると同時に、鑑賞者の内に潜むそれぞれの物語でもある。
⽥村は1977年富⼭県⽣まれ、京都府在住。既存のイメージやオブジェクトを起点にした作品で知られる。「アジア・アート・ビエンナーレ2019」(台北)や2020年の「ヨコハマトリエンナーレ」(横浜)、現在開催中の「国際芸術祭あいち2022」(名古屋)など国際的な芸術祭や展覧会にも招待され、国内外から注⽬される作家のひとりだ。
本展は⽥村にとってKOTARO NUKAGAにおける初の展覧会。⼤きく2つの世界をほのめかす、様々なオブジェクトの集合と、それらつながりの⾒えない2つの世界に橋を渡す1枚のアナログレコードによって構成される。
2つの世界のうちひとつは、⼟星の第6衛星であり最⼤の衛星「タイタン」をほのめかす。「タイタン」は太陽系のなかで、地球を除いて唯⼀豊富な⼤気を持つ衛星。その⼤気の⼤部分は「窒素(nitrogen、N)」で占められ、⻩⼟⾊を基調とした乾き切った世界観は窒素の充満する「タイタン」の表⾯であり、今回の展示において、⽥村により導き出された「N」の世界があらわれる。
「N」は「エヌ」と読まれ、「エ・ヌ」という2⾳節を⽇本語的にひっくり返すと「ヌ・エ」とすることができる。ここで、⽥村は「ヌエ」と発⾳される言葉から、『平家物語』などにも登場する「鵺(ぬえ)」を挙げる。鵺は、サルの顔、タヌキの胴体、トラの⼿⾜を持ち、尾はヘビという⽇本で伝承される物の怪のこと(⻄洋的な表現をすればキメラにあたる)で、「鵺」は能の演⽬としても知られている。
⻩⼟⾊を基調としたひとつ目の世界に対し、もうひとつの世界は、私たちが寝静まった夜に訪れる紺⾊を基調とした裏⾯の世界として表現される。⼀⾒、何のつながりもないこれら2つの世界はレコード盤の表と裏のように「N」というアルファベットの表裏としてあらわれた世界である。そして「N」は不眠症のN⽒を起点にした⽥村による物語りであると同時に、鑑賞者の内に潜むそれぞれの物語でもある。