EXHIBITIONS

高橋大輔 個展「絵画をやるーひるがえって明るい」

2022.09.10 - 10.08

高橋大輔 白昼夢 #4 2022 ©︎ Daisuke Takahashi Courtesy of ANOMALY

高橋大輔 Toy (虎) 2021 ©︎ Daisuke Takahashi Courtesy of ANOMALY

高橋大輔 無題 2022 ©︎ Daisuke Takahashi Courtesy of ANOMALY

高橋大輔 km 2017-2019 ©︎ Daisuke Takahashi Courtesy of ANOMALY

高橋大輔 無題/One Yen Coin 2021 ©︎ Daisuke Takahashi Courtesy of ANOMALY

 ANOMALYでは、高橋大輔の個展「絵画をやる一ひるがえって明るい」が開催される。

 高橋は1980年埼玉県生まれ。色彩が幾層にも重なった厚塗りの抽象絵画で知られる画家だ。いっぽう近年は、ゆるやかにその作風を移行させ、具体的なモチーフを持つエキセントリックな絵画を発表している。

 近作に、自動筆記によるドローイングを契機に生み出された、文字を画面に取り入れた「白昼夢」シリーズや、子供の玩具を描いた「Toy」シリーズなどがあり、身の回りにあるものをモチーフとする作品へと推移している。

 本展では、最新作を含む絵画約30点を展示。年号や平成/令和などの元号を表す漢字(表意文字)、トラやキリンなどの子供の玩具、フライパン、一円玉、パイナップル、家の外壁といった、日常生活において見慣れたものが、高橋の粗密かつリズミカルな筆致により、細部の関係性や、各所に広がる抽象的な空間に目が奪われることでゲシュタルト崩壊のような状態を促す。再び画面全体に視野を戻せば、日常から現れたモチーフが立ち上がり、ユーモラスに私たちと対面する。

 制作において、綿密なプランドローイングや検証を重ねた後にタブローへ向かう高橋。絵画空間が生活空間と密接な関係を取り結びながら深化するその作品は、すでに見知ったはずの世界と出会い直し、新しく世界をとらえ直すことのできる装置として、私たちの前に現れる。刻々と変化する環境に真摯に向き合いながら作品を展開させてきた高橋が今回発表する、新たな作品群に注目してほしい。

 本展の会期中の9月29日には、高橋とロジャー・マクドナルド(インディペンデント・キュレーター)によるトークイベントも実施予定。またANOMALYのウェブサイトでは、大下裕司(大阪中之島美術館学芸員)が本展に寄せたテキストを掲載している。