EXHIBITIONS

脚本家 黒澤明

2022.08.02 - 11.27

『七人の侍』志村喬旧蔵台本(1953) 国立映画アーカイブ蔵

『赤鬚』(1963) 槙田寿文氏蔵

『隠し砦の三悪人』草稿(1958) 国立映画アーカイブ蔵

『悪い奴ほどよく眠る』決定稿(1960) 槙田寿文氏蔵

『乱』英訳台本(1983) 槙田寿文氏蔵

『戦国群盗傳』決定稿(1959) 槙田寿文氏蔵

『虎 虎 虎』黒澤明版準備稿(1967) 個人蔵(写真提供=調布市武者小路実篤記念館)

『ガラスの靴』決定稿(1971) 槙田寿文氏蔵

 国立映画アーカイブでは企画展「脚本家 黒澤明」を開催。修業時代から後期作品まで、書く人・黒澤明の仕事をたどる。

 映画監督として幾多の名脚本家に支えられ、次々と傑作映画を生み出した黒澤明。しかしその若き日より、世界の文豪たちの影響を受けながら、自身もシナリオを執筆することで成長していった。

 これまでドストエフスキー、シェイクスピア、山本周五郎と黒澤映画の関係についてはよく論じられてきたが、黒澤は、じつはバルザックやそれ以外の多くの文学作品からも強いインスピレーションを受けたことがわかっている。

 本展覧会は黒澤の「書く人」としての側面に着目し、『七人の侍』(1954)をはじめとする名作脚本の生成・変更の過程を分析する。また、ほかの監督たちに提供した脚本や、新たに発見された未映像化脚本も加えて、「シナリオ作家黒澤」の創作の秘密を解き明かすことを試みる。

 国立映画アーカイブは、2010年の「生誕百年 映画監督 黒澤明」展の開催後も、ポスター展「旅する黒澤明」(2018)、「公開70周年 映画『羅生門』展」(2020)と、展覧会を通じて黒澤映画の先端的な探求を推し進めてきた。今回の展覧会「脚本家 黒澤明」は、黒澤作品の専門家の全面的な協力を得て、そのシナリオ術に照準を当てた、黒澤映画の研究の最新形になるという。