EXHIBITIONS

野口哲哉「this is not a samurai」

野口哲哉 THE MET 2020

野口哲哉 WOODEN HORSE 2020 高松市美術館蔵

野口哲哉 Cat-walk 2020 2020 高松市美術館蔵

野口哲哉 21st Century Light Series ~The Tap~ 2020 高松市美術館蔵

 野口哲哉の個展「this is not a samurai」が、ポーラ ミュージアム アネックスで開催される。2018年の展覧会「中世より愛をこめて」以来、同ギャラリーでは4年ぶりの展示となる。

 野口は1980年香川県高松市生まれ。2003年に広島市立大学芸術学部油絵科を卒業、05年に同大学大学院を修了した。これまで「鎧と人間」をモチーフに、樹脂やアクリル絵具を使い、彫刻や絵画作品などを制作している。2016年、香川県文化芸術新人賞受賞。21年には、巡回展「THIS IS NOT A SAMURAI」(高松市美術館、山口県立美術館、群馬県立館林美術館、刈谷市美術館)を開催し話題となったほか、海外ブランドとコラボレーションするなど、その活躍は多岐にわたる。

 野口は、鎧兜をモチーフとした作品を通して、人間の内面性や多様性を問いかけてきた。見る人に感情を押し付けないニュートラルな作風は、様々な世代や国籍の人々に広く受け入れられている。

 また野口の作品には、樹脂や化学繊維といった現代的な素材を使われており、それは鉄や漆などの素材、あるいは鎧兜といったモチーフに付きまとう、「こうあるべき」という原理主義的な事柄に対する、作家独自のアイロニーでもある。鎧武者だけではなく、人間が誰しも持つ暴力性や生々しさ、現代人に限らず、どの時代の人間も持つ優しさや美しさ、野口の作品は心地よい緊張感と静かなユーモアが交錯する、新しいかたちの現代美術といえる。

 本展では、野口の作品のなかから代表作の立体や平面など約40点と、本展のために制作された新作もあわせて展示。作品に込められた優しさと悲しさ、人間への好奇心にあふれた世界を紹介する。