EXHIBITIONS

『写真』vol.2 モザイク刊行記念

片山真理 個展「possession」

© Mari Katayama

© Mari Katayama

© Mari Katayama

 ふげん社が発行する雑誌『写真』vol.2(特集:Mosaic)の刊行を記念して、片山真理の個展「possession」がコミュニケーションギャラリーふげん社で開催される。雑誌の発売日は7月20日。

 片山は1987年生まれ、群馬県出身脛骨欠損という先天性四肢疾患のため、9歳の時に両足を切断することを決めた。アーティストとして、2005年の群馬青年ビエンナーレ奨励賞でのデビュー以後、自身で装飾を施した義足や手縫いのオブジェを用いたセルフポートレイト、インスタレーションを制作している。12年に東京藝術⼤学⼤学院美術研究科先端芸術表現専攻を修了。19年、ヴェネチア・ビエンナーレ出展作と写真集『GIFT』で第45回木村伊兵衛写真賞を受賞した。

 本展では、雑誌『写真』vol.2のメインの口絵として掲載される、新作「possession」を展示する。本誌のために撮り下ろされた「possession」は、前作の「leave-taking」(AKIO NAGASAWA GALLERY GINZA、2021)の続編にあたる作品だ。海外の美術館への収蔵が決まり、自作のオブジェを手放すことを契機に浮かんだ、前作に対する「作品とは誰のものなのか?」という問いが、今作にも引き継がれている。

「possession」の撮影では、『日本書紀』の月夜見尊に殺される保食神のエピソードに着想を得た「Thus|Exist」のオブジェや、《beast》の鱗の装飾が施された衣装を使用。パッチワークで制作された人形や、さなぎのような衣装に身を隠す行為の不可視性は、雑誌『写真』の今回のテーマである「モザイク」を彷彿とさせる。

 片山は、女性だから、障碍者だから、というあらゆる属性に対してレッテルを貼ろうとする世のなかに対し、どんなものでも「誰のものにもならない自由を持っている」と語る。本展では、その思いを抱えがなら制作を続けるアーティストの現在が示される。

 会期中には、片山と同じ群馬県出身であり、今号に撮り下ろし作品を掲載している石内都を招いた対談イベントも開催。また本誌の口絵を担当したひとり、古屋誠一と往復書簡を行った小林紀晴(写真家)と、『写真』統括アドバイザーの飯沢耕太郎(写真評論家)とのクロストークも予定している。