EXHIBITIONS

歌枕 あなたの知らない心の風景

2022.06.29 - 08.28

吉野龍田図(左隻) 六曲一双 江戸時代 17世紀 根津美術館 展示期間=8月3日~8月28日

吉野龍田図(右隻) 六曲一双 江戸時代 17世紀 根津美術館 展示期間=8月3日~8月28日

伝 紀貫之 寸松庵色紙「ちはやふる」 一幅 平安時代 11世紀 京都国立博物館蔵 重要文化財 展示期間=6月29日~7月25日

与謝蕪村 奥之細道図(部分) 二巻のうち上巻 1778(安永7) 京都国立博物館蔵 展示期間=7月27日~8月28日 重要文化財

小倉山蒔絵硯箱 一合 室町時代 15世紀 サントリー美術館蔵 重要文化財 展示期間=6月29日~7月25日

宇治の景文様小袖 一領 江戸時代 18世紀 松坂屋コレクションJ.フロントリテイリング史料館蔵 展示期間=6月29日~7月18日

 和歌に詠われた歌枕の世界を紹介する展覧会「歌枕 あなたの知らない心の風景」が、サントリー美術館で開催される。

 日本固有の和歌は、かたちのない感動や感情を、かたちのあるものとして表わす手段として詠まれていた。歌人は自らの思いを移り変わる自然や、様々な物事に託しその心を歌に表わした。

 やがて、和歌に繰り返し詠まれた土地には特定のイメージが定着し、歌人のあいだで広く共有されると、ついには実際の風景を知らなくても、その土地のイメージを通して自らの思いを表わすことができるまでに至り、和歌と結びつく特定の土地や名所を「歌枕」と呼ぶようになった。

 日本人の心の風景となった歌枕は、美術とも深い関わりを持っている。実景以上に歌枕の詩的なイメージで描かれてきた名所絵や、歌枕の意匠で飾られた様々な工芸品などからは、歌枕が日本美術の内容をいっそう豊かにしてきたことが伝わってくる。

 本展では、現代を生きる私たちにとっては馴染みのない、しかしかつては誰もが思い浮かべることのできた日本人の心の風景・歌枕の世界を紹介するもの。絵画や書、工芸品などの日本美術に込められた様々な思いを、いま改めて共有することを試みる(作品保護のため、会期中展示替えあり)。