EXHIBITIONS

青木豊「歩く花嫁」

2022.06.04 - 07.09

青木豊 Untitled 2022 Photo by Osamu Sakamoto © Yutaka Aoki Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

青木豊 Untitled 2022 Photo by Osamu Sakamoto © Yutaka Aoki Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

 KOSAKU KANECHIKAは、青木豊の個展「歩く花嫁」を開催する。

 青木は1985年熊本県生まれ。2008年に東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻を卒業後、10年に同大学院造形研究科美術専攻領域を修了し、現在は東京都を拠点に活動。絵画の視野を広げ、世界と絵画の関係とその新しい可能性を追究し、制作を行う。

 これまで、二次元と三次元を自由に行き来するような作品や、素材の物質性や制作方法自体、そして鑑賞者の視線の動きの相互反応にフォーカスした作品を発表。刻々と変わる絵画の豊かな表情を、時間軸で瞬間としてとらえることを試みてきた。

 とくに青木は「光」に着目。光が時間軸、鑑賞者の存在、展示空間などの環境の要素に補完され、有機的に立ち上がるような豊かさをとらえ、またいっぽうで光の存在の自明性自体を問い直すことにアプローチしてきた。そうした実験と新たな発見のプロセスを繰り返すことで、青木はつねに絵画そのものを再発見している。

 本展は、KOSAKU KANECHIKAでの5回目となる個展。青木は次のステイトメントを寄せている。

「昨年、素晴らしい縁側に座ることができた。そこは二階から一階へという動線で、光とないまぜになった木々の粒子を浴びて階下へくだる。突き当たりの小窓に鮮やかな斜線。歩みを進めると上階とは異なる苔生した庭のざらつきが現れる。

居合わせた人々は思い思いに腰を下ろし居場所をみつけてしんとなる。板張りがギッと音を立て、艶めいた床から生じた反射が庭と建物内を浸透させている。

そこにある環境は微動していて、僕はその境界の働きかけを受けてまぎれもない現実の重なりの中にいた。この外側に働きかけてくる美に応答したい」。